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1982年、人吉市役所入所。1992年から合鴨農法による稲作りを30アールで開始し、2006年から乾田直播型合鴨農法を30アールで試験的に実施。
2016年には米・食味分析鑑定コンクール国際大会にて特別優秀賞を受賞。
2019年、人吉市役所を退職し、翌年の収穫後、本格的にBLOF理論による稲づくりに挑戦している。
現在の役職
- NPO熊本県有機農業研究会副理事長
- 日本有機農業研究会九州ブロック幹事
- 人吉市有機農業推進協議会副会長
- 人吉市環境保全型農業推進協議会会長
- 球磨地域農業協同組合理事
- ひとよし土地改良区理事
熊本県立農大を卒業後に就農した私は、合鴨農法は31年間、乾田直播型は17年間、実践しています。
乾田直播型合鴨農法とは、乾田のまま種もみ専用の播種機で直接、田んぼに播くことで、代掻き、苗づくり、田植えなどの作業を一切省略し、省力化、低コストを実現した有機農法です。
我が家の今年の稲づくりは、昨年10月の土づくりからスタートしました。収穫直後に土壌分析を行って土の状態を把握し、目標収量に必要な施肥設計を行います。これに従って稲わら分解促進のため、発酵鶏糞やEM米ぬかボカシを散布し、トラクターで耕起します。
地力増進作物として緑肥のヘアリーベッチを作付けしますが、この緑肥は空気中から反当り最大20~25kgの窒素を固定できます。旺盛に繁茂するというアレロパシー作用により、雑草の発芽抑制効果も期待できます。
今年3月、排水対策のための溝堀作業を行い、混合堆肥や牡蠣殻石灰、マグネシウム資材などのミネラル資材を散布しました。5月3日から6条播種機でコシヒカリを直播きし、5月5日と25日に発芽前、入水前にホウキングによる機械除草を実施。発芽の確認は5月10日、播種後7日目でした。
5月19日に発芽直後の機械除草を行い、畦波シートを装着後、5月31日に入水開始し、6月10日に田んぼ全体に合鴨を放飼しました。6月27日に追肥作業、さらに合鴨にEM菌入り米ぬかボカシペレットを給餌し、鴨糞が追肥となります。
7月23日には出穂を確認し、28日には合鴨捕獲作業を実施。コシヒカリは多品種より出穂が早いため、現在、スズメに集中攻撃を受けています。
今年、初めて早期米コシヒカリに挑戦しましたが、早期米を選んだ理由は
(1)早期に播種することで気温が低く、雑草が少ない
(2)気温が高い時期に作業をしなくてもよい
(3)販売額で多品種より極めて有利である~良食味で消費者への認知度が非常に高い、
ということです。
私の工夫としては、BLOF(バイオロジカル・ファーム)理論による稲作りの実践があります。
土壌分析、施肥設計に基づく有機資材の散布によって、目標収量を反当り8俵に設定できました。
今後の課題として、ヒエ取り作業の軽減や機械除草とジャンボタニシの活用が挙げられます。